【学名】Physeter macrocephalus
【英名】Sperm Whale
【分布】世界の海洋に分布
【環境省レッドデータブック】絶滅危惧Ⅱ類(VU)

大王イカとの深海での壮絶な戦いが、よくテレビなどでも特集されているマッコウクジラ。耳にする機会も多いのであまり知られていないのですが、実はマッコウクジラも絶滅危惧種に認定されています。

マッコウクジラとは

クジラは大きく2種類に分類されます。歯のあるハクジラ類と、口の中に歯のかわりになるクジラヒゲがあるヒゲクジラ類です。シロナガスクジラなど、大型のクジラはほとんどヒゲクジラに分類されます。

マッコウクジラはハクジラ類に入るのですが、ハクジラの中ではかなり大きな体をしています。体長は15~18メートルで、体重は35~45トン。肉食動物で、1日におよそ何百キロもの魚と1トンのイカを食べています。イカを探すために水深1000メートルまで潜水することができ、そのため皮膚が固く分厚くなっているそうです。中にはなんと、深海3000メートルまで潜るマッコウクジラもいるそうです。

マッコウクジラといえば、あの潜水艦のような頭の形が特徴的です。非常に不格好で頭が大きく、なんと頭が体長の1/3を占めています!その巨大な頭には、脳が詰まっているわけではなく、「脳油」という液体が入っているそうです。しかしこの使い道は解明されておらず、今のところクジラが潜ったり浮かんだりする際の浮力を変える役割があるのではと考えられています。

 

増加するも未だ…

マッコウクジラは、脂や、クジラから分泌される竜涎香(りゅうぜんこう:香水などに使用される非常に高価な物質)を採取するために捕鯨されてきました。マッコウクジラは肉に蝋が含まれるため、食用に適さないそうで、食用のために捕鯨されることはありません。人間の嗜好品のための乱獲によって数が激減してしまったのです。

しかし燃料が石油に取って代わったことでクジラの脂が必要なくなったことで、捕鯨を禁止しようという国際的な動きが起こり、今では商業捕鯨は禁止されています。現在では日本だけが調査を目的とした捕鯨(調査捕鯨)が認められていますが、この調査捕鯨に関しても各国からは様々な非難が寄せられています。

 

そうした結果として、マッコウクジラの個体数は増加傾向にあるようです。しかし少しずつ増えてはいるものの、依然としてこの絶滅危惧のラインからは脱せていません。

 


文責:大妻女子大学4年 望月鹿乃子