【学名】Mustela erminea orientalis
【英名】Common Kingfisher
【分布】北海道全域
【環境省レッドデータブック】準絶滅危惧(NT)

 

アパレル店でのアルバイト中、店頭で高価な毛皮のコートが売れた。毛皮のコートと聞いて、少し前に日本でもブームになっていたのを思い出した。それと同時に、どれほどの動物たちが犠牲になってきたのか、気になり調べていくと、日本の毛皮ブームで犠牲になった動物がいた。エゾオコジョだ。

 

エゾオコジョはイタチの仲間で、その愛くるしい見た目が特徴だ。北海道に生息し、エゾイタチとも呼ばれている。本州に生息するホンドオコジョよりやや大きい。また、オコジョの身体的特徴なのが、換毛。普段は、お腹の部分だけが白く、その他は茶色い毛に覆われている。しかし、冬になると、その毛は真っ白に変わる。

その愛くるしい姿からは想像できないが、正確はイタチと同様、どう猛で気が強い。自分よりも大きなウサギやナキウサギを餌とする。ナキウサギの生息する場所に多くエゾオコジョも住む。また、昆虫類や山ブドウ、コクワの実などの植物も食べる雑食。冬眠はせずに昼夜問わず年中活動する。繁殖期と育児中以外は単独行動をし、岩や石の隙間や木の根の隙間を巣穴として利用する。

 

自分よりも大きな動物を餌にし、年中活動し、単独行動だって平気なオコジョってなんだか、たくましい。

そんなたくましいオコジョが、なぜ準絶滅危惧類となってしまったのか?

 

それは、毛皮目的の乱獲や、他の動物、主に毛皮目的に海外から輸入したミンクの繁栄により、生息環境が変化したのが原因と言われている。日本に毛皮のブームが起きた時、一気に増えた生産量をまかなおうとミンクを移入。そして、その一部が野生化し、エゾオコジョの生態系に影響を与えた。外来種のミンクにより、エゾオコジョの餌は奪われてしまった。さらに、開発による森林伐採でオコジョの生活する場も奪われた。

人間の私利私欲の為に動物たちは動かされ、殺されていった。

今ファッションの世界では、ファッション誌『VOGUE』が毛皮広告の締め出しをしたり、トップモデルや写真家たちが「毛皮の着用をしない。」と宣言したりと、毛皮を規制する動きもある。しかし、毛皮の需要が無くなったわけではない。

 

一時的なブームによって沢山の命を奪い、今もオコジョの生態系に影響を与え続けている。みんなが着ているから、みんなが持っているから、というブームだけをみるのでなく、その中でどれほどの命が犠牲になっているのか。少し立ち止まって考えることもできたはず。

一つの種が居なくなることで、自然界は大きく変化する。居なくてもよい存在などいない。準絶滅危惧類のエゾオコジョたちの訴えを無駄にしてはならない。いなくなってから騒いでは、意味がないのだから。

 


文責: 大妻女子大学 3年 栗原亜実