越田雄史
NPO法人どうぶつたちの病院
対馬動物医療センター長(獣医師)

NPO法人どうぶつたちの病院は、地域に根ざした動物医療活動やペットの適正飼育普及活動などを通じ、絶滅の危機にある野生動物の回復と自然再生を目的とする団体です。

対馬では2004年まで獣医師の常駐する動物病院がなく、ツシマヤマネコや市民のペットに十分な動物医療が提供されませんでした。当法人は対馬動物医療センターを開設し、対馬市民のペットに動物医療を提供しつつ適正飼育を普及し、またツシマヤマネコをはじめとする傷病鳥獣の救護活動などにより、「人とペットと野生動物が共存する地域作り」を目指しています。

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ネコの適正飼養のお願い [提供 : NPO法人どうぶつたちの病院]

対馬には飼い主のいないノラネコが沢山います。ネコたちは、十分な餌もなく、ネコエイズやネコ白血病などに侵されながらも必死に生きようとしています。ノラネコはツシマヤマネコと生息地を競合しウイルスの感染源になる事が確認されていますが、ノラネコが悪いのではなく、人間がペットのネコを適切に飼育できなかった事の、ノラネコも被害者なのです。対馬の皆さんにそれに気付いていただき、これからどのようにしたら良いのかを一緒に考えていきたいと思っています。

私は、物心ついたときから生き物が好きでした。そして、人間に生息地を奪われていく野生動物の存在を知って彼らの味方になりたいと強く思い、獣医を目指しました。2009年に対馬に来て、田圃の中でくつろぐツシマヤマネコを始めて見た時、言いようのないほど感動したことを今でも覚えています。

対馬の人達は本土から来た私を温かく迎えてくれました。野菜や魚をわけていただいたり、バレーボールやマラソンなどで共に汗を流したり、充実した日々を送っています。この掛け替えのない人達にペットの素晴らしさ、ツシマヤマネコを始めとする多くの野生動物が安心して暮らせる環境の大切さを少しでも伝えていけたらと思っています。

対馬動物医療センターリンク:http://yanbarukuina.jp/