Red Zoo

ギフチョウ

【学名】Luehdorfia japonica
【英名】panese Luehdorfia
【分布】 本州の秋田県南部から山口県中部にいたる26都府県(東京都・和歌山県では絶滅)の里山に生息。
【環境省レッドデータブック】絶滅危惧Ⅱ類(VU)

昔、大好きだった「ムーミン」シリーズで、春の訪れを告げるチョウチョの話がありました。その年の最初に見るチョウチョが黄色いと、その夏がすばらしい夏になること、白いチョウチョは穏やかな夏になるんだとか。

とすると、初めに見るチョウチョが、黄白色と黒の縦じま模様で、うしろの羽の外側が青や橙、赤色の斑紋で彩られた鮮やかなギフチョウを年の最初に見たらどうなるんだろう?

素晴らしいを通り越す夏を迎えられるのかしら?

そんな妄想を膨らませるほどキレイなギフチョウの生息地は、人の手が入り適度な下草が保たれる里山。成虫は年に1度だけ、早春まだ残雪が残っている頃に現れる。ほかの蝶に先がけ春を知らせることから、「春の女神」「春の舞姫」などと呼ばれたりもしている。

蛹の期間が非常に長いのが特徴で、6月頃には蛹になり、そのまま越冬して春まで、約10か月間過ごすのだそうだ。この儚さと美しさが日本人の心を掴むのか、日本国内での具不調の任期は高い。春になると多くのファンが、桜を愛でるように束の間の撮影や採集に出かけていく。

さらにギフチョウは、日本産のチョウの中でも特に保護活動が盛んに行われている種類という側面を持つ。

地球温暖化などの気候変化や、造林や開墾などにより従来ギフチョウの住む里山が減少し、それに伴い、食草となるカンアオイが激滅したことが、ギフチョウの減少に拍車をかけた。

現在、各地で保護区が設定され、食草の増殖、吸密植物の保護、間伐、下刈りなどの環境整備などが行われている。

ちなみにこのギフチョウのそっくりさんに、「ヒメギフチョウ」がいる。ギフチョウとの違いは、前羽の外側に並ぶ黄白色の斑紋がずれいるかいないか、後ろの羽の突起が長いか短いかといったわずかな違いだ。

ヒメギフチョウはギフチョウに比べ冷涼な地域を好むため、ギフチョウとヒメギフチョウの分布がはほぼ明確に分かれている。この2種の分布境界線は日本における冷温帯と暖温帯の境界線とほぼ合致しており、ギフチョウの学名を取ってリュードルフィア(Luehdorfia)ラインと呼ばれている。

このヒメギフチョウも、準絶滅危惧としてレッドデータブックに掲載されている。